設計のこぼれ話 −設計バトル?−
2010年 06月 16日
住宅を設計するときには、図面の中に家具を書き込んで考えています。
(と、エラそうに書くほど特別のことではありませんが…。)
希望の家具が入るか、家具が通路をふさいでいないか確認するため、窓や照明の位置を決める手がかりにするなど、ごく当たり前の目的もありますが、私にとっては、「住宅の中に入り込むイメージづくり」という部分が大きいです。
自分がそこにいるとしたら、どんな空間が居心地いいのか想像するのです。
ソファに座ったら、ここに窓が欲しい、テレビはここ、ソファの前が通路になってしまっては落ち着かない、逆に、外の景色がいいこのポジションにソファを置きたい…などなど、こんな調子です。
家具を書き込むことで、自分の周りにできる空間が実感できるわけです。
設計の初期から想定していたソファ.
背面の壁の幅や飾り棚の位置はソファに合わせている.
設計の進め方は人それぞれですが、私の場合は、このように中にいる人(=自分)の周りから考えるので、「建物の内部からの発想」という傾向が強いようです。ただし、これはあくまでも設計のスタートのときで、内部のイメージが見えてくると、内部・外部を並行して進め、最終的には家全体のイメージを固めていきます。
さらに私の場合、「外部からの発想」タイプの夫とパートナーシップで設計しているので、設計が進んでくると、どこかで夫とぶつかり、内部・外部に関わらず、必ず設計バトルになってしまいます。
もうちょっと上品に言えば、二人とも、「そこにいる人」が見るはずの景色や気分を気にしながら設計していて、意識の共有のため、とことんすり合わせを行っている、といったところでしょうか。
設計バトルを平和的に収束させると、私たちの設計案ができあがります。
ちなみに、バトル状態のまま、お客様との打合わせをすることはありませんので、どうぞご安心ください…。
(白崎 治代)