木造のスケルトンリフォームについて #1

あるお客様から問い合わせがありました。
内容は
“中古を買って、大幅なリニューアルをしたい。
その敷地の法定容積率より、少ない状態で建っているから、増築できるのではないか”

とのこと。
もちろん構わないのですが、いくつか気をつけてほしいことがあります。

■容積について
建物の多くは容積率いっぱいに建てられています。 容積をかなり余裕があるというのは、建蔽率のほうで引っ掛かっているか、斜線制限で引っ掛かっているか、どちらかの可能性が高いと言えます。 
斜線制限については昔より有利になっていることもあります。それは天空率を採用できることです。高度斜線を除いて、他の斜線は天空率による緩和を受けることができます。
天空率の計算は、敷地形状によっては解釈が難しく、設計者によって差が出ることもあります。 やり慣れている設計者を選ぶに越したことはありません。

増築を前提に中古物件を購入するときは、必ず、建物の図面のほかに現状の敷地図まで入手し、それを私たち専門家に増築は可能か見てもらってから判断してください。





■構造について

b0383324_22552103.jpg
1978年の宮城県沖地震で、それまでの構造解析では対応できない崩壊メカニズムがあることがわかりました。そこで、国は研究を重ね、1981年の法改正 で大きく構造の考え方が変わりました。これを「新耐震設計法」と呼びます。木造住宅において、一番わかりやすい例は、コンクリートの基礎に鉄筋を入れるこ とが義務化されました。今は、阪神大震災を受け、さらに細かく規定されています。
つまり、1981年以前に建てられた木造住宅には、基礎に鉄筋を入れる義務がなかったので、ほとんどの建物が無筋だと思われます。
そうすると、今の耐震基準には合致しませんので、新たに基礎補強をすることになります。今、いろんな補強方法が出回っていますが、確実と思われるものは既存の布基礎の周りをぐるりと鉢巻き状に鉄筋の入ったコンクリート基礎で囲い込む方法です。
この方法の最大のデメリットは見映えが極端に悪くなることです。
鉢巻き状にコンクリートを打たずに、既存のコンクリートに炭素繊維を挿し込む工法なども出ています。それについては、私自身、どう評価すべきか研究中です。


2000年には、柱と梁の接合部には、そこにかかる応力に合わせて金物を入れることも義務化されました。
既存と一体化して増築する場合は、接合部の金物補強も必要になってきます。ということは、2000年以前のものであれば、その建物の壁量計算書から、構造 としてカウントしている壁を見つけ出し、その壁の端部にある柱の応力を計算した上で金物補強をするということになります。


by seeds-archi | 2010-03-20 14:28 | Essay

一級建築士事務所シーズ・アーキスタディオの日々の出来事など


by Seeds Archi-studio
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31